近年、先進諸国ではアトピー性湿疹などアレルギー疾患の比率が劇的に高まっているが、生後9カ月までに魚を食べ始めた乳児は湿疹の発現リスクが低いことが、スウェーデンの研究によって示されている。
同研究は、イエーテボリGothenburg大学・小児病院のBernt Alm博士らが、スウェーデン西部で2003年に生まれた小児の医療記録と、生後6カ月および1歳時に保護者が回答した質問票を用いて実施したもの。
研究の結果、生後12カ月までに、乳児のほぼ21%が湿疹を経験したか、その時点で湿疹を有していた。平均発症年齢は生後4カ月。最大の危険因子は家族歴で、特に母親や兄弟姉妹の湿疹の既往であった。しかし、生後9カ月までに魚を摂取した乳児では、罹患率が25%低かった。 鳥を飼っている家の小児も湿疹の発現率が低く、これは、家の中で鳥を飼うことで、小児がエンドトキシン(病原体内に存在する毒素)に持続的に曝露されていたためと思われた。食べた魚の種類は湿疹の発現リスクに影響せず、オメガ-3脂肪酸は有益性と関連しないことが示唆された。また、母乳育児や乳製品の摂取開始時期、毛皮を持つペットによる影響も認められなかった。
同氏は「特にアレルギー性疾患の家族歴がある乳幼児では、魚食の早期開始が湿疹や他のアレルギー性疾患を引き起こす恐れがあるとされてきたが、今回の知見により、この不安から保護者を解放することができる」と見解。生後5~6カ月ごろから、別の固形物と同時に、魚を少しずつ与えていくことも提案している。 (参考:米医学誌「Archives of Disease in Childhood)(M.Y)