理化学研究所(理研)などの共同研究チームが、メタボリック症候群やがん予防に効果的な「カンゾウ(甘草)」から抽出される天然の甘味成分「グリチルリチン」を合成する酵素遺伝子を発見している。
カンゾウの「甘草根」と呼ばれる地下茎などから抽出される「グリチルリチン」は、砂糖の150-300倍の甘さを持ち、低カロリーの天然甘味料などとして需要も高い。「グリチルリチン」には、肝機能補強や抗ウイルス作用などの薬理効果もあり、「甘草根」は、医薬品の品質規格書「日本薬局方」に収載されている漢方薬の70%超に配合されている。米国の国立がん研究所では、カンゾウをニンニクなどと共に、がん予防に効果的な食品として位置付けている。
理研、横浜市立大、千葉大、京大等の共同研究チームは、「グリチルリチン」を産生する根や地下茎での発現性が高い半面、「グリチルリチン」を産生しない地上部での発現がほとんどない5つの遺伝子を選び、これらの機能を解明する研究に取り組んだ。
その結果、5つの遺伝子のうちの1つが、「グリチルリチン」を合成する中間体の一つ「11-オキソ-β-アミリン」に変換する活性を持つことが分かり、「CYP88D6」と命名。また、この遺伝子の産物が植物の合成で重要な働きをする「チトクロームP450」と呼ばれる一群の酸化酵素の一つであることを突き止めた。
これより、この遺伝子の配列情報を基に、栽培に適したカンゾウへの品種改良や栽培条件の最適化の研究が可能になり、遺伝子をほかの植物や酵母などに導入することで、天然甘味成分の工業生産も期待出来ると見解している。 (参考:医療介護CBニュース)(M.Y)
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