世界的に既に罹患率の高い慢性腎疾患(CKD)が依然として増加傾向にあり、死亡リスクを高めていることで、CKDを公衆衛生の優先課題にする必要があると報告されている。
台湾の研究者らは、1994年に標準的スクリーニングプログラムに参加した20歳以上の台湾人46万2,293人のデータを分析。その後13年間、中央値7.5年の追跡調査を実施した。その結果、CKD患者5万6,777人(約12%)はそうでない人に比較して、全死因による死亡が83%多く、心疾患による死亡は2倍多いことが明らかにされた。また、CKD患者群では約40%が65歳までに死亡していた。
参加者全体の死亡のうちCKD によるものが10.3%であったが、社会経済的地位が低い層では17.5%に増加。CKD罹患率そのものも、社会経済的地位が高い層に比べ低い層で高かった(19.8%)。CKD患者で自分の状態を知っていた人はわずか3.54%。興味深いことに、中国の生薬を定期的に使用している人ではCKDのリスクが20%高かった。また、研究参加者におけるCKD罹患数は、糖尿病患者より数倍多く、高血圧症患者の半数以上であった。
研究者らは、未診断、未治療のCKDに対し、一般の人が自分の糸球体ろ過率(GFR)を知り、尿検査を受けて、疾患の認識を高めることが早期死亡を減らし、世界的な流行を減少させるために重要と世界的な問題レベルであることを指摘している。 (参考:医学誌「The Lancet」)(M.Y)