更年期(閉経期)に伴う顔面紅潮(ほてり)は記憶障害と関連しており、女性では自身の半数近くの顔面紅潮に気づいていないことが、米イリノイ大学の研究で明らかにされた。
中等度から重度の顔面紅潮がある女性29人(平均年齢53歳)を対象とした研究で、被験者は皮膚の変化を測定するモニターを装着。主観的な顔面紅潮と、モニターが検知する客観的な顔面紅潮を24時間以上記録。客観的な顔面紅潮の発現回数は1日平均19.5回で、主観的な回数に比べ40%多かった。研究者らは被験者の記憶力も測定しており、事前の研究では中年女性の40%が物忘れを報告したことが示されている。
研究著者で同大精神医学・心理学准教授のPauline Maki氏は「モニターが察知した女性が実際に発現している顔面紅潮と、認知テストによる記憶能力との間に非常に強い関連性が認められた。実際の顔面紅潮が多い女性ほど記憶力が悪い」と見解。
研究者らは、総睡眠時間と翌日の記憶力の関連性も指摘。Maki氏は「総睡眠時間から記憶力の悪化を予測できたが、夜間睡眠中の顔面紅潮の総発現回数でも記憶障害の予測が可能だった。つまり、双方が合わされば、翌日の記憶力はさらに悪化するということになる」と述べている。また、今回の知見から、顔面紅潮を発現している女性の血管運動症状を治療することで、記憶力を改善できることも示唆されている。 (参考:医学誌「Menopause」)(M.Y)
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