有明海の高級二枚貝タイラギやアサリを食い荒らしているナルトビエイに、メタボを改善する成分が含まれていることが、佐賀大農学部・柳田教授の研究で明らかにされている。ナルトビエイは、捕獲されてもこれまで多くが廃棄処分にされてきたが、「スープの食材やサプリメントに利用できる。漁師さんにも、肥満に悩む人にも朗報」と見解している。
有明海周辺の4県は、漁業に被害を与える「厄介者」としてナルトビエイを駆除。佐賀県では、04年度から本格的に駆除に乗り出し毎年100t前後を捕獲。作業を請け負っている県有明海漁協によると、食品として販売できないか検討中だが、現在は業者に頼んで廃棄処分や肥料にされている。
ナルトビエイにはたんぱく質が多く、成分にどのような機能があるかの研究を開始。その結果、脂肪肝やコレステロール濃度を改善する作用があることを発見している。 たんぱく質は、消化されるとアミノ酸が連なるペプチドになる。肥満で糖尿病のモデルラットにナルトビエイのペプチドが含まれたエサを3週間与えてやる実験をしたところ、肝臓の脂肪とコレステロールの量が2割ほど減ることを確認。メタボリック症候群を予防、改善する作用があることが確認できたという。
今後、ほかの魚類のペプチドも実験するとともに、ペプチドのどのような成分が肥満の改善に効果があるのかさらに研究を進める。成分を特定できれば、薬の開発も期待でき、従来まで廃棄処分されていた魚が、メタボリック症候群に悩む中年たちの希望になる可能性を秘めると共に、漁師の副収入になるものとして注目されている。(参考:朝日新聞)(M.Y)
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