炎症をかいように悪化させる活性酸素の過剰発生が、人の細胞にあるたんぱく質「TRPM2」の作用で引き起こされていることを、京都大大学院工学研究科の森泰生教授が米医学誌「ネイチャーメディシン」で発表している。TRPM2を抑制する薬剤が開発できれば、胃などかいようの予防や治療に役立つことが期待されるとしている。
人は怪我や細菌感染などで炎症が起きると、消毒薬の役割を持つ活性酸素を多く出す白血球が傷口に集まる。しかし、過剰になると、傷口の細胞を崩してかいようになってしまう。
同教授は、この仕組みにTRPM2が作用しているとみて、遺伝子操作でTRPM2を除去したマウスと正常なマウスに大腸かいようを起こす薬剤を投与して比較。その結果、活性酸素を多く出す白血球を傷口に集めるたんぱく質「ケモカイン」の産出量が、遺伝子操作マウスは正常マウスの5分の1程度に抑えられ、かいようも軽度で済んでいることを突き止めた。(参考:毎日新聞)(M.Y)
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