心停止状態で倒れている成人を助けるには、胸を押し続けて圧迫するだけでも人工呼吸を加えた方法と同じ蘇生効果があることが判明されている。調査を受けて、蘇生法の国際的な指針づくりに強い影響力を持つ米心臓協会(AHA)は、この「圧迫」を蘇生法として市民に勧める見解を発表。日本でも指針が見直される見通しである。
心臓発作などで倒れた場合、命を大きく左右するのは早期の心肺蘇生。蘇生法は、胸の真ん中を押す「胸骨圧迫」と人工呼吸を交互に行うのが原則で、海外でも同様。ただ、第一発見者の多くはたまたま居合わせた人。他人に口をあわせる人工呼吸に抵抗感があるのが課題だった。
しかし、京都大・石見拓助教授らの調査で、人工呼吸を省いても効果が変わらないことが判明(98~03年に心臓病で心停止して倒れたが、近くに人がいた大阪府民の事例約4,900件。倒れて1年後に、後遺症なく社会復帰できた率を調査)。 すると、倒れて15分以内に救急隊が到着したケースでは、居合わせた人から基本蘇生法を受けた場合の「後遺症なし復帰率」は4.1%。胸骨圧迫のみは4.3%で、ほぼ同等の効果がみられた。首都圏の医師らの調査でも同様の傾向であった。 因みに子どもについては基本の方法を勧めており、 手法の難しい人工呼吸を無理にするより、圧迫だけでも多くの人に取り組んでもらうことで、より多くの命を救えるとも見解されている。 (参考:朝日新聞)(M.Y)
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