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悪玉アディポサイトカインが優勢な状態が一定期間続き、インスリン抵抗性(=耐糖能の異常)のスイッチがONになったところが生活習慣病ということになります。インスリン抵抗性ができるというのは血糖を正常な範囲内でコントロールすることが出来なくなる、つまり糖尿病(Ⅱ型)の状態です。私たちのまわりでも患者さんになった人がよく言う「インスリンの出が悪くなった」状態です。糖尿病に至らなくても、血中インスリンの働きが悪い=血糖のコントロールに変調が起きると、動脈硬化が異常に早く進み、高血圧の他、心臓疾患や脳卒中などの生活習慣病が起きやすくなります。(K.O) このシリーズ(5)まで。
東京大学の研究グループを中心に、アディポネクチンは、脂肪細胞が分泌するホルモンの中の善玉で、筋肉や肝臓で脂肪を燃焼させ、血糖を減らす働きが確認されました。しかし、運動不足や高カロリーにより、内臓脂肪が蓄積する=肥満になると、悪玉アディポサイトカインが増えはじめます。メタボをアディポネクチンで説明すると、悪玉が優勢な期間が一定期間になると、生活習慣病予備軍としてのメタボリックシンドローム状態となる、ということになります。インスリン抵抗性(異常)の状態に入るスイッチは押していないけれども、悪玉が優勢で、悪玉に偏ってゆらゆらしている状態がメタボリックシンドロームと言える状態と言えます。(K.O) このシリーズ(5)まで。
アディポネクチンは、大阪大学分子制御内科学教室が発見した脂肪細胞から分泌されるホルモン。アディポは、脂肪という意味。血中のアディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する・・・つまり、標準的な体格の人にはたくさん存在するが、内臓脂肪が増えるほど、血中のアディポネクチン濃度が下がることから、メタボリックシンドロームとの関係が研究されるようになりました。図は、メタボリックシンドロームとアディポネクチン(善玉アディポカイン)との関係。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される善玉のことを言い、逆に悪玉(PAI-1やTNF-αなど)もある。善玉も悪玉も含め、脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して、アデイポサイトカインといいます。私たちのカラダの中では、善玉と悪玉がバランスをとっていますが、メタボリック症候群では、悪玉が優勢になっているとのことです。(K.O) このシリーズ(5)まで。
2008年4月1日から実施される特定健康診断と特定保険指導の義務化に向けて、日頃の生活習慣を改めなければならないが、なかなか実行に移せないという悩みを持つ人が増加している。このような悩みを持つ人たちの間で、短期入院(ショートステイ)して指導を受ける「教育入院」が広がるだろう。生活上の注意点などを集中的に学ぶ教育プログラムとなっており、医師や看護師、栄養士らがチームで取り組む。生活習慣病の治療では、患者の教育が重要となっている。来年4月から実施される特定保健指導の義務化で指導の対象となる人にとって、教育入院を活用し持続的に自己管理する運動、食事のノウハウを学ぶことの意義は大きい。(日本経済新聞)(R.T)★教育入院・一般入院扱いなので公的医療保険がきく・元来は糖尿病治療の一環として始まった制度だが、メタボリックシンドロームの他、高血圧、腎臓疾患、慢性関節リウマチ、緑内障、呼吸リハビリを対象にする病院も増加。
2008年4月1日から実施されるメタボリック症候群を中心とした特定検診。制度では民間委託(運動指導、食事指導)も可能としているも、どこまで効果が上がるのか予測できない。結局、メタボリック症候群を予防・改善するのは本人の意欲次第と言えるからだ。特定検診は患者数を増やすだけという見方もできることから(該当者および予備軍は2,000万人に達すると予想される)、制度面だけの改革では不十分とみなせそうだ。(朝日新聞他)(M.Y)