国内の20-79歳の男性のうち、下痢系の過敏性腸症候群(IBS)にかかっている人が1割近くいることが、島根大医学部・木下教授の調べで明らかにされた。同教授は、IBSの病気としての認知度の低さや、患者が医師に相談できていない現状を指摘。自己治療で症状が改善しない潜在患者も多いとし、IBSは適切な診断や治療が必要な疾患と強調する。
IBSは、大腸や小腸に原因となる異常がみられないが、腹痛などの腹部症状に下痢や便秘といった便通異常を伴う疾患。調査は下痢型や下痢を主訴とする混合型の下痢系IBS患者の実態を把握するため、全国の20-79歳の男性2万人を対象に実施。調査結果によると、下痢系IBS患者は全体の8.9%。年齢別では20歳代が11.2%で最も多く、次いで40歳代10.4%、30歳代10.0%、50歳代7.8%、60歳以上5.3%の順。また、疾患を認識しているかを尋ねたところ、63.5%が自分の症状を「病気ではないと思う」と回答。医療機関の受診の有無については、74%が「受診なし」だったほか、他の疾患で医療機関を受診する機会があっても、54.7%が腹部症状を医師に相談したことがないと回答した。
下痢の症状があったときの対処方法として、「食べ物や飲み物に気を付ける」(53%)、「トイレを見つけたらすぐに行く」(37%)、「市販の薬をのむ」(36%)、「外出先等でトイレの場所を意識するようにする」(33%)などが多かった。さらに、「市販の薬をのむ」と答えた人に、服用して症状の改善が見られないことがあるかを尋ねたところ、「たまにある」が57%、「頻繁にある」が7%で、合わせて6割以上が改善しないとしている。 (参考:医療介護CBニュース)(M.Y)