私たちが思っている以上に、健康問題とフローラは密接に関連しています。
最近では、口腔内フローラと歯周病・虫歯・口内炎との関係も注目されるようになっています。
以下、研究論文のコピーです。
◆副鼻腔の問題は微生物叢の問題
Got Sinus Problems? Blame Your Microbiota
鼻腔内の微生物叢の変化は慢性的な副鼻腔の問題を引き起こす可能性があることが、新たな研究から示された。これまで副鼻腔感染症の治療は、副鼻腔内の細菌の殺滅を目的としていた。しかし今回の結果は、慢性的な副鼻腔の問題を抱える人には、副鼻腔に再び細菌を定着させることで利益が得られる可能性があることを示している。Nicole Abreuらは、鼻腔に対する修正手術を受ける少人数の慢性鼻副鼻腔炎の患者と、副鼻腔の問題がなく、副鼻腔に関係しない手術を受ける患者について、微生物叢のプロファイルを調べた。これらの微生物叢の大部分の細菌は通常の実験条件下では培養できなかったため、微生物を同定するために高解像度微生物叢プロファイリングが用いられた。この方法は、特異的な分子バーコード、すなわち細菌にしか存在しない遺伝子16S rRNAをスキャンして細菌を同定するものである。患者と健康な被験者の微生物叢を比較したところ、鼻副鼻腔炎患者では正常な微生物叢が消失しており、特定の微生物Corynebacterium tuberculostearicumの増加が認められた。慢性鼻副鼻腔炎の患者では、細菌の多様性の減少、乳酸菌の枯渇、C. tuberculostearicumの増加がみられることが明らかになった。マウスを調べたところ、乳酸菌量を再度増加させると、疾患が軽減し、感染から鼻腔が保護された。この原因は不明であるが、感染からの保護をもたらした細菌株Lactobacillus sakeiは、他の細菌種を殺す特別なタンパクであるバクテリオシ
ンを産生できる。この研究結果は、微生物叢の多様性の減少が慢性の炎症性疾患の特徴であることを示す増加しつつあるエビデンスに一致している。
http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/scitm091212jp.pdf
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