海外で市販された薬が自国に入ってくるまでにかかる時間をドラッグラグと呼ぶ。医薬産業政策研究所の調査によると、2000~2006年に承認された新薬のドラッグラグは約4年。欧米諸国の1年強と比べると極端に長い。
日本におけるドラッグラグが長いのは、開発時の投資効率の悪さが要因となっている。薬の承認を得るには、日本で治験を行い効果と安全性を示す必要があるが、日本は体制が不十分であることから、米国の2~3倍のコストがかかる。ドラッグラグのうち2年は、この治験の着手遅れによるものとなっている。待ちきれない患者のために、医師や本人が海外の薬を個人輸入して使うケースも増えてきている。大学病院の7割以上は医師が輸入した薬を処方した経験があるという。(この場合は保険はきかない)情報は得にくく、重大な副作用などがあっても責任は医師と患者にかかる。
こうした状況を受け、厚生労働省では有識者会議を設け、必要と判断した薬については企業に働きかけて開発を促している。だがこれまでに必要とされた43種のうち、11種は治験の予定すら立っておらず、ドラッグラグの解決には時間がかかると思われる。(参考:日本経済新聞)(R.T)
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