お年寄りの認知症の進行を遅らせる方法にインターネットの通話ソフトが有効…そんな研究を京都大大学院医学研究科の木下教授のグループが開始している。ネットが使える介護者がそばにいれば自宅で取り組める。
研究では、専用カメラを装着したパソコンを使用。ネットの通話ソフト「スカイプ」を利用し、具体的な言葉を引き出す質問をし、認知症が進むと乏しくなるとされる言語表現の強化を図る。
思い出の場所で撮った写真も電子データで送信してもらい、互いに見ながら会話を進める。
(スカイプ:03年、ルクセンブルクの会社が開発。世界で3億人超が利用しているとされる。利用者同士なら通話は無料だが、互いの顔を見るために専用カメラとマイク、ヘッドホンが必要) 研究は4月から開始。70~80代の男女人の患者に4~9月のうちの3カ月間、週に1回30分間会話し、1人につき計12回続けた。実験前と実験後に面談して「100から7を引くと?」「知っている野菜の名前を挙げて」などと質問し、認知症の進行具合を点数化。実験前の4人の平均点は30点満点中18.25点だったが、実験後は22.75点だった。中には18点から29点と大きく上昇した人もいた。
一方で、研究に参加しなかった別の患者4人に同様の質問をしたところ、最初の平均点は15点、3カ月後は11.75点に低下した。 高齢だと、外来に来られないうちに認知症が進行してしまうケースも少なくないが、同研究を契機にさらなる進化が期待される。(参考:朝日新聞)(M.Y)
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