肥満児の動脈は、実際の年齢よりも30歳以上老化していることが新たな研究で示されている。 米ミズーリ大学の研究グループは、超音波を用いて6~19歳のハイリスク小児70人の頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)を測定。CIMTはアテローム性動脈硬化症の評価に用いられるもので、一般に小児では成人よりもずっと低く、年齢とともに増大していく。成人では、CIMTに心臓発作や脳卒中リスクとの関連がみられ、一般にCIMTは低いほどよいとされている。
被験者は平均13歳、殆どが白人であり、約半数が男児。57%はBMI(肥満指数)が同年齢での95パーセンタイル(計測値の分布を小さい値から並べてパーセントで見た数字)値を超えていた。測定の結果、平均すると被験者の「血管年齢」は、実際の年齢よりも30歳高かった。肥満児および血液中のトリグリセリド(中性脂肪)濃度が高い小児ほど血管年齢が高い傾向があったという。
米テキサスA&M健康科学センター内科准教授・Catherine McNeal博士は、今回の研究は小規模なものであり、いくつかの統計データが欠けているため、この結果が決定的なものとは断言できないとする一方、蔓延する肥満の問題を解消するには、出生前に両親を教育することから始める必要があると指摘。また、若い親の多くは子どもの栄養所要量について理解しておらず、カロリーの摂取量と消費量のバランスが取れていない。2年ほど前の研究では、この世代が親より長生きできない最初の世代となる可能性が示されているともみなしている。 (参考:米国心臓協会報告)(M.Y)
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