グレープフルーツ果汁が薬剤の作用に影響を及ぼすことは以前から知られているが、オレンジ、リンゴなどの果汁も薬剤の吸収を妨げる作用をもつ可能性のあることが研究で明らかにされた。
今回の研究では、グレープフルーツのほか、オレンジやリンゴの果汁が一部の薬剤の吸収率を「低下させる」可能性のあることが判明。抗癌薬エトポシド(ベプシドほか)、高血圧治療および心疾患予防に用いられるアテノロールおよびtalinolol等の一部のβ遮断薬、臓器移植の拒否反応の抑制に用いるシクロスポリンや、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、イトラコナゾール等一部の抗生物質がこれに該当。さらに、抗アレルギー薬フェキソフェナジンを
グレープフルーツ果汁とともに摂取すると、水とともに摂取した場合に比べて薬剤の吸収量が半分になることを解明されている。
いずれのケースも、果汁に含まれる物質が薬剤の吸収に影響を及ぼしていた。薬剤を取り込む輸送体の作用を妨げて吸収率を低下させる物質もあれば、薬剤代謝酵素が薬剤を正常に分解するのを妨げる物質もあるという。影響を受ける薬剤が全てわかっているわけではないようだが、この研究が裏付けられれば、グレープフルーツ以外の果汁についても注意を促していく必要があるともされ、「薬剤は水で飲むのが最も安全」と強調できる。因みに水は一口で止めずにコップ1杯分を飲む方が、錠剤が溶けやすくてよいという。また、冷たい水の方が早く胃を通過し、薬剤が小腸から血液中に早く送られるため、温水よりも冷水で飲むことが推奨されている。 (参考:米国化学学会)(M.Y)
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