地域の中核病院などの総合病院で、医師不足から精神科病棟の閉鎖が相次いでいる。02年から4年間で、精神病床がある病院数は1割、病床数は2割近く減少。総合病院の精神科は、通常の治療だけでなく、自殺未遂者やがん患者の心のケアなど役割が広がっている。
日本総合病院精神医学会の調査によると、02年に272あった精神病床を持つ総合病院は06年末に244に、病床数も2万1732床から1万7924床に減少。調査後も休止したり診療をやめたりする病院が続いている中、廃止になっているのは主に地方の公立病院とされている。
精神科専門の医師数は微増傾向だが、この10年で診療所と精神科病院に勤める医師数は増加したのに対し、総合病院などは1割減と把握されている。これは夜間休日の救急対応や他科より診療報酬収入が少なく、経営側に負担感が大きいことに要因がある。 厚労省は、精神障害者が入院中心から脱して地域で生活できるよう単科精神科の病床数削減の方針を打ち出す一方で、自殺未遂で入院した患者を精神科医が診察すると診療報酬が加算されたり、がん対策基本法で緩和ケアチームに精神科医の関与が求められたりと、総合病院での精神科医の役割は増している現状である。
イタリアでは精神科病院を全廃し、代わりに全総合病院に精神病床を置いているのに対し、日本は精神科病院の病床削減は進まず、総合病院の病床が減るという正反対のことが起きていることから、総合病院の精神科医療の診療報酬を手厚くするなどの対策が必要ともみなされている。 (参考:朝日新聞)(M.Y)
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