正常な睡眠を取っている人は健康的な老後を過ごせるという知見が示されている。
米カリフォルニア大学の研究グループは、60歳以上の女性2,226人を対象に、睡眠薬の使用、日中の眠気、居眠り、不眠、早朝覚醒、いびき、総合的な睡眠の質および睡眠時間について評価を実施。その結果に基づき、20.8%の女性が「健康的な老い」を達成していると分類された。
研究グループによると、日中の居眠りが少ないことと、不眠への不満が少ないことが最も深く老後の健康に関連しており、睡眠薬の使用と老後の健康との間には直接の関係は認められなかったという。
睡眠障害が重度であるほど老後に関する自己評価が低く、本人の認識と実際の年齢との差が大きかった。この知見は、健康のためには十分な睡眠を取ることが最も重要であるという考えを裏付けるものであり、患者の年齢に関わらず睡眠について留意する必要があると、専門家Sonia Ancoli-Israel氏は見解。
高齢者の多くは必要な睡眠が取れておらず、その主な原因の一つが入眠困難である。65歳以上を対象とした過去の研究では、男性の13%、女性の36%が入眠までに30分以上かかることが明らかにされている。高齢者は眠りが浅く、夜間の中途覚醒頻度も高い。また、若年者に比べて早い時間に眠くなり、朝早く覚醒する傾向がある。睡眠不足は抑うつ、注意力や記憶力の低下、日中の眠気、夜間の転倒および睡眠薬の使用の増加など、数々の問題の原因となるほか、肥満、心疾患および糖尿病などのリスク増大をもたらすとされている。(参考:睡眠専門家協会報告)(M.Y)
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