日に数時間、音楽を聴くことにより脳卒中患者の機能面での早期回復がみられることが、フィンランドの研究によって明らかにされている。
研究は、右半球または左半球の中大脳動脈に脳卒中を生じた54人を対象に、2カ月間の音楽療法を入院直後に開始された。音楽は患者が自分で選択し、発症の6カ月後まで追跡調査を行い、評価。発症3カ月後、音楽を聴いていた患者の言語記憶は、発症後1週目に比べて60%改善。オーディオブックを聴いていた患者での改善率は18%、何も聴かなかった患者では29%であった。メンタルオペレーションをコントロールしたり形成する能力や反応の対立を解決する集中力は、音楽を聴いていた患者では17%改善したが、それ以外の患者群では改善が認められず、この差は6カ月後でも基本的に同じであった。
また、音楽を聴いていた患者は何も聴かなかった患者に比べ、うつ状態や混乱が少なかった。脳卒中回復初期に毎日音楽を聴くことは手軽に、しかも安価で行うことができ、認知機能や感情機能の回復に役立ち、他のリハビリテーションを始められない患者には有効と言えそうだ。
神経メカニズムに対する音楽療法の効果
・快感、報酬、覚醒、動機付け、即応力、注意力、気分を改善する
・脳の損傷部位の回復を直接刺激する
・脳の可塑性(損傷後に神経ネットワークを修復・回復させる脳の能力)に関連するメカニズムを刺激する (医学誌「Brain」他参考)(M.Y)
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