メタボリック症候群の基準をどうするか検討していた国際組織が、内臓脂肪の量をみる腹囲について「大きくなくてもメタボの恐れあり」との見解をまとめ、新たに統一の基準を作った。日本のメタボ基準では腹囲が必須条件。だが、専門家からは「痩せていて病気のリスクが高い人を見落とす恐れがある」という声も出ていた。
国際糖尿病連合(IDF)はこれまで日本と同様に腹囲を必須条件にしていたが、米国はそうではなく、基準が不明確であった。今回統一見解に加わったIDF、世界心臓連合、国際動脈硬化学会など六つの組織によると、腹囲のほか中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値を加えた5項目のうち、3項目以上の検査値に異常があれば、メタボとすることに決定。腹囲が普通でも、血圧や血糖値などに異常があればメタボということになる。腹囲の値は、国や民族ごとにそれぞれ定めるとしている。
日本では男性85㎝以上、女性90㎝以上という腹囲であることが第一条件。ただ「女性の方が大きいのは変だ」との声が国内外から出て、厚労省の研究班が測定値を見直す作業を進めている。 また、太っていなくても血圧や血糖値といった異常が重なる人は日本人に多く、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高いことが調査で明らかにされている。腹囲が大きくないと特定健診にもとづく保健指導の対象にならないのが現状だが、「痩せていてリスクの高い人への対策が不十分」との指摘があった。新しい世界基準だと、こうした人たちもメタボに含むことになる。日本糖尿病学会理事長の門脇・東大教授は血圧や血糖値などの異常が重なる原因の多くは内臓脂肪の蓄積だとわかってきており、有効な対策を考えるためにも腹囲を必須にした方がよく、日本は今の基準を堅持すると見解する。 (参考:朝日新聞)(M.Y)
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