65歳以上の高齢者が家族や介護職員らから虐待された事例が、07年度は前年度より712件多い1万3,335件に上ることが厚生労働省の全国調査で明らかにされている。死亡事例は27件で、全て家庭内。また、家庭内で認知症の高齢者への虐待も増えており、介護を要する認知症(認知症日常生活自立度2より重度)は、前年より2.7ポイント多い44.5%。
06年に施行された高齢者虐待防止法を受け、厚労省は全国1,816市区町村と都道府県の状況をまとめた。通報を受けた市区町村が立ち入り調査などした結果、家庭内で1万3,273件、特別養護老人ホームなど施設で62件の虐待が確認された。
虐待の大半を占めた家庭内では、殴るなど身体的虐待が63.7%と最も多く、暴言で侮辱するなど心理的虐待が38.3%、食事を与えないなど介護放棄(ネグレクト)が28%だった。家庭内の虐待の40.6%が息子によるもの。次いで、夫(15.8%)、娘(15%)であった。
高齢者が死亡した理由は、殺人が13件、介護放棄7件のほか、心中も4件あった。因みに虐待の通報の4割以上はケアマネジャーら職員によるものである。
通報・相談件数は前回より約1,700件増加。厚労省は「通報窓口の設置など取り組みが進んだ」とみるが、被害は氷山の一角との指摘からも、市区町村の体制でも対応マニュアル等を作成しているのは4割に満たないなど、課題が残されているのも事実である。 (参考:朝日新聞)(M.Y)
コメント