カレーのスパイス「ターメリック」(ウコン)に含まれる成分から、記憶力を高める化合物を、武蔵野大と米ソーク研究所が合成。動物実験の段階だが、将来認知症の治療などに役立つ可能性があると米老年医学誌で発表している。
同成分は「クルクミン」と呼ばれ、生薬としても用いられるショウガ科の多年草「ウコン」の黄色色素。アルツハイマー病の原因とされる異常たんぱく質ベータアミロイドが脳内に蓄積するのを防ぐ作用を持つことが知られている。
研究チームの調査では、クルクミンは神経細胞の損傷を抑えられるが、記憶力向上までの効果は確認できなかった。そこで、クルクミンの化学構造を変えたさまざまな化合物を合成。ラットから記憶の形成にかかわる脳の「海馬」を摘出、薄くスライスして組織が生きた状態が保たれたままにして、これらの化合物を加えた。その結果、「CNB-001」と名付けた化合物が細胞間の情報伝達の効率を高め、その状態を持続させることが判明した。
また、この化合物を飲ませたラットは前日に見せた物体を記憶していたのに対し、飲ませなかったラットは覚えていなかった。この化合物が、記憶をつくるスイッチとして働く酵素を活性化していることも明らかにしている。武蔵野大の阿部和穂教授によると、同化合物は、海馬の働きを直接活発にしていることから、新薬開発にも応用が出来ると言える。 (参考:毎日新聞)(M.Y)
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