多量の喫煙や飲酒、特にビールは膵癌(すいがん)の発症を早める可能性のあることが発表された。 今回の研究で、米ミシガン大医学部助教授・Michelle A. Anderson博士らは、多施設国際患者登録システムに登録された患者453人を対象に、飲酒または喫煙の有無、飲酒する場合にはその量と種類を調べた(被験者は男女ほぼ同数)。
その結果、喫煙者では膵臓疾患が若齢で発現しやすく、喫煙量が多いほど発症年齢が低かった。膵癌の平均発症年齢は70~80歳だが、1日1箱を40年以上または1日2箱を20年以上吸うヘビースモーカーが膵癌を発症する年齢は、非喫煙者より平均7歳低く、飲酒者では1日3杯以上の飲酒をするヘビードリンカーは飲まない人より10歳低かった。
ビール、ワイン、蒸留酒を比べると、ビールによる膵癌の発症年齢の低下が最も大きかった。ただし、ビール飲酒者と非ビール飲酒者を比べた場合には有意差がみられたものの、他の変数を調整後はその差はみられなくなったという。喫煙は、膵癌の既知の危険因子であるが、同氏は大量のアルコール摂取は慢性的な炎症性変化をもたらし、これも癌に関連すると見解。なお、慢性的な喫煙と飲酒両方がある場合でも、膵臓のリスクに及ぼす影響はいずれか単独の場合より大きくはなかったという。
米国癌協会は、米国で今年(2008年)約3万8,000人が膵癌と診断し、約3万4,000人が死亡すると予測。膵癌は初期に無症状であるため、進行してから検出されることが多く、治療効果はおもわしくない。第一段階で検出されたとしても見通しは暗く、5年生存率は33%程度。 膵癌の早期発見は、特に家族歴があるなど、高リスクの人で重要と考えられる。早期検出方法については血液検査での腫瘍マーカー検出と超音波内視鏡検査を併用する、診察時に超音波検査を行う、超音波内視鏡検査と内視鏡的逆行性胆道膵管造影を併用するなどが有用とする研究結果も示されている。 (参考:米国消化器病週間会議報告)(M.Y)
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