目は心の窓といわれるが、瞳孔の散大が聴力を知る手がかりになり、乳児や幼児、外傷性脳損傷患者等、通常の聴力検査が難しい人の聴覚障害診断に役立つ可能性があるとの研究報告が、耳鼻咽喉科研究学会で発表されている。
米国立聴覚・伝達障害研究所によれば、米国では約2,800万人が難聴を有し、小児1,000人のうち約2~3人には出生時に聴覚消失や難聴が認められる。聴覚は発話や言語の発達に非常に重要であることから、乳児や幼児では、聴覚障害の診断は早いほどよいとされている。
今回の研究では、この瞳孔散大反応を聴力測定に利用できるかどうかを検証、健常者22人に様々な音を聞かせて目の運動をカメラで追跡した結果、被験者が新しい音を聞くと瞳孔が散大した。音を何度か繰り返すと、被験者はすぐにその音に慣れた。また、被験者が音に慣れると、音を変えた。被験者のうち11人に、いつ音を聞いたかを尋ね、その結果を瞳孔反応で得られた結果と比較したところ、非常に似ておりその差は3デシベル以内であった。
研究者間では「この知見は興味深いもので、3デシベルという差は非常に小さい」とする一方、乳児や幼児では頭部を固定できないとの見解より、有用な臨床ツールとなるには時間がかかりそうだ。 (M.Y)
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