地球温暖化がこのままの勢いで進むと、栄養不足の乳幼児が2050年には、温室効果ガス排出削減で気温が上昇しない場合に比べ2,500万人以上増えるとの分析を国際食糧政策研究所がまとめた。生産量の減少と価格高騰で、人々が食糧を得るのが難しくなるのが原因とみなされている。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの予測に基づき、50年の地球の平均気温は00年に比べて約1~2度上昇し、降水量は陸地の約2~10%で増えると想定。研究所が開発したモデルを使い、32種類の穀物と畜産物の生産量や価格への影響を分析した。その結果、穀物に高温障害などが発生し、途上国での生産量は小麦が30%、コメが15%減ることが判明。また小麦の価格は、現状の気候のままでも人口増などに伴う需要増で40%高騰するが、温暖化が進むことで3倍近く高くなると推測した。さらに、コメは温暖化なしの場合でも60%高騰し、温暖化が進んだ場合は2.2倍になると分析。現在、栄養が不足している5歳未満の乳幼児は1億4,800万人。温暖化がなければ、穀物の生産効率改善などもあって50年には1億1,300万人に改善するが、温暖化防止策が不十分の場合には2,500万人増の1億3,800万人と予測。研究所は、温暖化に伴う栄養不足を抑えるには、高温に強い穀物の
研究開発や灌漑設備の整備など70億ドル(約6,300億円)が必要と試算している。 (参考:毎日新聞)(M.Y)