欧米では女性の学歴が高くなるほど脳卒中にかかる危険性が減っていくとされるが、日本では逆に、高卒よりも短大・大卒の方が脳卒中にかかる率が高いことが厚生労働省研究班による女性約2万人の調査により判明されている。
これには、欧米に比べて女性の社会進出にともなう制度などが未整備だったため、ストレスがかかっていたのではないかと推測。大阪大学の本庄かおり特任助教(公衆衛生学)と磯博康教授らが調査。対象は岩手、秋田、長野、沖縄の4県に住み、90年に40~59歳だった女性2万543人。このうち約7割の1万4,744人が働く女性だった。最終学歴で中学、高校、短大・大学の3グループに分け、12年間の生活習慣や脳卒中などの病気を調査し、この間451人が脳卒中を発症。高卒を基準にすると、脳卒中の発症率は短大・大卒が1.4倍、くも膜下出血は2.2倍だった。働く女性の中で比べても1.5倍になった。欧米では中卒、高卒、大卒の順で発症率が下がるが、日本では、短大・大卒で再び跳ね上がるU字型を描いた。
また、短大・大卒の働く女性の中で「母親」「妻」「娘」など家庭での役割が一つと二つ以上の
場合で差が出た。役割が一つの場合は、高卒の働く女性に比べ2.6倍の発症率だったが、二つ以上の場合は1.1倍にとどまった。本庄さんは「仕事でストレスがあっても、家庭での役割が精神的によい効果をもたらしたのではないか」と話している。 (参考:朝日新聞)(M.Y)