食欲を増進させる効果などが知られるホルモン「グレリン」は、アルコールも飲みたくさせるという。ドイツ等の研究グループが、グレリンにこんな機能があることを、マウスの実験で確かめた。将来のアルコール依存症の新薬開発につながる成果とみなせる。
グレリンは空腹になると胃などから分泌されるホルモン。99年に発見され、食欲の増進のほか、成長ホルモンの分泌を促すことが知られていた。研究グループは、このホルモンを感知する受容体が、脳内の満足感を生じる「報酬系」と呼ばれる領域にもあることに注目。マウスの脳に直接グレリンを注射したときに、水とアルコールのどちらをよく飲むか調べた。
すると、グレリンを注射したマウスは、生理食塩水を注射したマウスに比べ、アルコールの摂取量が約1.45倍になった。受容体が働かないようにする薬物を与えたマウスや、受容体をなくしたマウスでは、グレリンを注射しても効果がなかった。グループはグレリンが食欲だけでなく、アルコールのような嗜好性物質を求めるなどの役割があるのではないかとみている。
(参考:朝日新聞)(M.Y)
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