英国のソーシャルビジネスで注目を集めているテーマの一つが「貧困」である。若いうちから借金を抱えている人を減らし、企業家を増やすために、お金の知識を身につけさせる取り組みを行っている「MyBnk(マイバンク)」という団体の調べによると、英国の成人90%が金融に関する教育を受けた経験がないため、住宅ローンなど個人の借金の総計は、国内生産(GDP)を上回り、成人の26%が貯蓄ゼロであるそうだ。
これらの問題を解決するために、MyBnkが近年始めたのが、若者の所持率が高い、携帯電話によるゲームを使った金融教育である。宇宙人が地球にやってくるところから始まる、SF仕立てのゲームを進めていく内に、獲得ポイントを「貯蓄」していく癖がつくように作られている。
NPOのCDIヨーロッパが2010年に始めた「アップス・フォード・グッド」というモバイル機器向けアプリ開発コンテストも、モバイルを使った若者の貧困脱出のための活動である。このコンテストに昨年は、平均年齢14歳、1200人もの学生が参加した。自分で問題を発見し市場を調査する。そこから解決策を描き、最終的にアプリの形にすることで、受験勉強では得られない創造性や問題解決能力が身に着くという。
貧困問題にスポットを当て、若者に人気のあるゲームを組み合わせた英国のダイナミックなソーシャルビジネス活動は、英国経済を活性化させていくのか、今後に期待したい。
(参考:日経流通新聞) (R.S)